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基礎知識約6分 ・ 最終更新 2026年10月10日 ・ 執筆 日高雄二

USDT詐欺・ビットコイン詐欺の手口|TRON送金は追跡できるか

被害相談で最も多いのがUSDT(テザー)、次いでビットコインです。通貨とチェーンによって、追跡のしやすさと凍結の可能性は大きく変わります。

結論

USDT(TRON)で送金してしまいましたが、追跡できますか?

追跡できます。TRONもBitcoinもEthereumも、取引記録はすべてブロックチェーン上に公開されており、TXID(トランザクションハッシュ)と送金先アドレスがあれば資金の移動をたどれます。詐欺でUSDTのTRON経由が指定されやすいのは、送金手数料が安く着金が速いためで、追跡できないからではありません。むしろUSDTには発行体であるTether社によるアドレス凍結の仕組みがあり、条件が揃えば凍結の対象になり得ます。

  • USDTはTRON・Ethereum・その他のチェーン上で発行されており、同じUSDTでもどのチェーンを通ったかで追跡の見え方が変わる。送金時に選んだネットワークを確認する
  • ビットコインはUTXOという単位で資金が動くため、金額の一致だけで経路を判断すると誤った結論になる。出力ごとに「どの取引で使われたか」をたどる必要がある
  • DEXでの交換(スワップ)やチェーン跨ぎの移動(ブリッジ)を挟まれると経路は複雑になるが、記録自体は残るため追跡は可能

「暗号資産を送ってしまった」といっても、何をどのチェーンで送ったかによって、その後にできることは変わります。詐欺グループが送金先として指定してくる通貨には、はっきりとした傾向があります。

なぜUSDT(TRON)が指定されることが多いのか

  • 価格が米ドルに連動するステーブルコインなので、受け取った側が値下がりリスクを負わない
  • TRONチェーン(TRC-20)は送金手数料が安く、着金が速い
  • 国内外の取引所で広く扱われており、換金しやすい
  • 被害者側も「ドル建てだから安全」と誤解しやすい

USDTはEthereum(ERC-20)、TRON(TRC-20)、BNB Smart Chainなど複数のチェーンで発行されています。同じ「USDT」でもチェーンが違えば別物で、送金の追跡もチェーンごとに行います。どのチェーンで送ったかは送金履歴からTXIDを調べる手順で確かめられます。送金画面で選んだネットワーク名を覚えておいてください。

チェーンによる追跡のしやすさの違い

通貨・チェーン追跡のしやすさ備考
ビットコイン(BTC)追跡可能UTXOという仕組みのため、どの資金がどこへ動いたかを1円単位で特定できる
イーサリアム(ETH / ERC-20)追跡可能アカウント方式。DEXでの交換やブリッジを挟まれると経路が複雑になる
USDT(TRC-20 / TRON)追跡可能送金件数が多く経路が枝分かれしやすいが、記録自体は公開されている
匿名性通貨(Monero等)追跡困難送金元・送金先・金額が秘匿される設計。国内の主要取引所では扱いがない

ステーブルコインには発行体による凍結の仕組みがある

USDTやUSDCといったステーブルコインには、発行体が特定のアドレスを凍結(ブラックリスト登録)できる仕組みが備わっています。実際に、犯罪利用が確認されたアドレスが凍結された事例が公表されています。

ただし、これは個人の申し出で発動するものではありません。法執行機関からの要請にもとづく措置であり、調査会社が発行体に依頼して凍結できるものでもありません。「当社が凍結します」と説明する事業者がいた場合は、事実と異なります。

送金してしまった後に確認すること

  1. 1
    送金したチェーンを確認する

    取引所の送金履歴に「ネットワーク」「チェーン」として記録されています。USDTの場合は特に重要です

  2. 2
    TXID(トランザクションハッシュ)を控える

    ビットコインとTRONは64桁、Ethereum系は0xで始まる66桁の英数字です

  3. 3
    送金先アドレスを控える

    相手から指定された入金先アドレス。TRONのアドレスはTで始まります

  4. 4
    自分で着金先を見てみる

    ブロックエクスプローラーにTXIDを貼り付ければ、送金の記録は誰でも確認できます

  5. 5
    調査会社に相談する

    複数のウォレットを経由した先の取引所まで特定するには専門の解析が必要です

FAQ

この記事に関するよくある質問

QUSDT(テザー)は凍結してもらえますか?
A

USDTには発行体であるTether社によるアドレス凍結の仕組みがあり、実際に凍結が行われた事例があります。ただし、被害者が直接申請すれば凍結されるというものではなく、通常は捜査機関からの要請を通じて判断されます。したがって手順としては、資金がどのアドレスに着金したかを特定し、その情報を添えて警察に申告するという流れになります。民間の調査会社が独自に凍結することはできません。

Qビットコインの送金は追跡が難しいと聞きましたが本当ですか?
A

追跡できないという意味ではありません。ビットコインはUTXO(未使用の取引出力)という単位で資金が動くため、1つの取引で複数の入力がまとめられたり、1つの送金が複数の出力に分けられたりします。このため「金額が近いから同じ資金だろう」という追い方をすると誤った経路にたどり着きます。正確に追うには、出力ごとに「その出力がどの取引で使われたか」をたどる必要があります。手間はかかりますが、記録は公開されているので追跡自体は可能です。調査を依頼する場合は、報告書に経路上の実際のTXIDが明記されるかを確認してください。

Q送金先が海外の取引所でも、追跡する意味はありますか?
A

あります。仮想通貨詐欺の資金は海外取引所に着金するケースが大半で、着金先が特定できれば、警察からその取引所への要請につながる可能性が出てきます。逆に、着金先が分からないままでは被害届の段階で「証拠不十分」となりやすく、手を打つ先がありません。追跡と、着金先からの情報開示は別の難易度ですが、追跡結果がなければ次の段階に進めないという意味で、まず資金がどこまで動いたかを確認する価値があります。

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